方向幕、行先表示器、サボ、フルカラーLED等々、
列車の行先を表示する装置の呼び名や表示形態には様々な種類があります。

このうち、行先や種別を一枚の長いフィルムに書いたものを電気式巻き取り器に取り付けて、
設定器で指定した行先を表示するタイプのものを一般的に方向幕と呼んでいます。

手作業で取り換えるサボや多色表現できて見やすさも抜群のフルカラーLEDなどもよいですが、
この電気巻き取り式の面白いところは、構造上いろいろな行先を手軽に見物できるところでしょう。

終着駅やその手前でくるくると巻き取られる方向幕には様々な行先や種別が記されており、
いつどんな時に使用するか見当もつかない行先が入っていることもしばしばです。
特に、車庫での停泊時や先頭車が中間に連結されているときの先頭表示は、
職員さんの遊びなのか日焼け防止のためなのか、普段使わないような行先を出していたりします。
このミステリアスな行先表示に好奇心を覚えたことのあるマニアは多いと思いますが、
皆さんはどうでしょうか。

東急ではフルカラーLEDが採用されて久しく、当初方向幕で登場した車両も
更新工事や通常検査等のついでにLEDに交換されている車両が大半を占めています。
そんな中、田園都市線の8606Fや8694F・8695Fの方向幕は今や貴重な存在となりました。

ということで本日は、東急方向幕使用車の日常風景をお送りします。

2012年11月某日 溝の口にて 東急8606F
IMG_0117

2012年11月某日 溝の口にて 東急8694F
IMG_0151
幕が綺麗なうちは視認性抜群です。
特に夜間の視認性の良さは、LED特有のドットもないため最も優れた行先表示方法といえるでしょう。

2012年2月某日 高津にて 東急8606F サハ8923
IMG_6955-1
幕の半蔵門行きは渋いですね。
8500系全盛期を彷彿とさせます。

2012年2月某日 あざみ野にて 東急8606F
IMG_5991
IMG_5992
あざみ野駅朝ラッシュの光景。
8500系でも3色LED車だと彩りを感じさせる写真となりますがが、
幕車は黒地に白文字で、バックライトの蛍光灯がぼんやりと照らす感じが
ノスタルジックですよね。

東急のみならず、全国的に方向幕使用車は減少していますので、
鉄道の一部品としてみるならともかく、現役風景は今のうちに記録しておいた方がよさそうです。