2022年も始まって1週間以上経ちましたが、この成人の日までは年始のまったり感が残っていていいですね。
そんな間に書き書きしてブログ記事を増やさねば💦
というわけで今日は、ついに置換え情報が公式に流れた東急9000系です。
ちょうどツイッターの方で、冬休みの課題として9000系の3DCADを描いていましたが、まさか作った直後にそんな話が出るなんてね……
こいつの製作記事もいずれ載せないとですね。
というわけで今日は、銀色電車研究室としての本文を思い出し、この9000系置換えについて少し考察してみたいと思います。
まず、どのような情報が流れたか今一度確認してみましょう。今回公式に案内が流れたのは、「2023年3月の実施に向けて鉄軌道旅客運賃の改定を申請」と題するプレスリリースでした。
初乗りの安さに定評のある東急ですが、安全への設備投資による支出増と新型コロナウイルスの影響による収入減を勘案し、ついに運賃改定に踏み切りたい、という内容です。
これだけでは一見車両の置換とは関係なさそうですが、別紙添付資料や補足資料のスライドPDFに、田園都市線の車輛更新と並んで大井町線もその対象であることが明言されました。
資料を見ると、車輛更新のみならず、様々な鉄道事業施策が列挙されています。
ここまでの施策の列挙は、もはや例年の設備投資計画に関するプレスと同様かそれ以上のボリュームかもしれません。
しかし運賃改定というハードルを越すためには必要なのでしょう。
鉄道運賃は鉄道事業法による規制があり、国交省の認可を受ける必要があります。このとき、同法第16条2項において、"「適正な原価に適正な利潤を加えた額」(総括原価)を認可後の運賃による総収入を超えてはならない"と規定されていることから、無暗に利潤を積み増すことはできません。公共性の高いインフラ事業故に、べらぼうに高い運賃を設定されては困るからです。
また、いわゆるこの「総括原価方式」は、向こう三年の需要予測と収支予測から設定されるため、コロナ禍の今、向こう三年を予測するのはかなり難しいでしょう。特に東急は関連事業がすでに上向いており、運賃を値上げ方向に改定する意義に乏しいのです。
運賃の認可に関する詳細は、JR北海道が運賃改定した際の国交省資料をご覧ください。P.20以降が参考になると思います。
https://www.cao.go.jp/consumer/history/05/kabusoshiki/kokyoryokin/doc/058_190809_shiryou4_2.pdf
このような状況でなお運賃改定に踏み切ったからには、利用者や株主、そして何より認可権者である国交省に対してその妥当性をアピールする必要があるのでしょう。
また、もしかするとこの柔軟性に欠ける制度の見直しを暗に知らしめる観測気球なのかもしれません。
コロナや歯止めのかからない少子高齢化で先行きが非常に不透明であるにもかかわらず、これだけの安全性・利便性・環境への配慮をして支出も増えているのだからやむを得ないでしょ?、ということです。
話が脱線しましたが、つまるところ、その一つが車輛更新であり、その対象車種が次は9000系以外にありえない、となったわけです。
ここまでは鉄道という事業論というか企業論としての話でありますので、趣味的にみて、じゃあ本当に9000系の置換えが妥当なタイミングなのか?、置換わるとしたらどうなるのか?、ということを考察していきます。
まず車齢面から。
9000系は1986年に一次車9001Fが登場していますので、今年で36年目を迎えます。ちなみに最終増備の9015Fは1990年登場ですので32年目です。
いずれにせよ30年を超えておりますので、一昔前の車両だとそろそろ置換えか大規模リニューアルか、といったところでしょう。
8500の置換えがほぼ完了し、8090/8590はすでに撤退済みですから、車齢的にも順番からしても自然の流れでしょう。
次に走行機器・設備面から見てみましょう。
車内は2005年に室内更新が行われ、モケットや化粧板の張り替えが済んでおります。また、その前にはLED車内案内装置も千鳥配置ながら取り付けられ、LCD車内案内装置は無いものの、概ね現代水準の設えとなっております。
一方走行機器は、登場時のGTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御器から変わりなく、今やこの時代のインバータを使用した車両も珍しくなりました。
最後に、今後の東急電鉄の鉄道事業計画との兼ね合いです。
プレスリリース添付資料をひっぱってきてみました。
これを見ると、まず2025年度までの「安全」に資する項目(車輛更新の項目)は2023年度以降は概ね330億円程度で推移し、大きく変化がないことが分かります。この項目には車輛更新以外にも、設備の維持管理や施設関連の設備投資も入っているため、一概にどの程度車輛更新に割り振られるか不明ですが、2020系やホームドアの設置が佳境だった2019年度と比べても15%以上も多いことや、耐震工事は基本的な工事が終了していることから、引き続き車輛更新にも十分手が回る計画と見えます。
2022年度は残りの2020系と目黒線8両化が車輛面でのメインで、9000系置換用は23年以降でしょうかね。
次に、事業の内訳を見てみると、東横線、目黒線、田園都市線の運転保安装置更新とあります。
昨今CBTCやATACSに代表される移動閉塞が日本でも導入されましたが、直通先の半蔵門線は2024年度のCBTC導入が発表されておりますので、少なくとも直通する田園都市線車両への影響は避けられないでしょう。
移動閉塞や将来的な自動運転を目指した機能も含む高度な保安装置となるのでしょうか……
9000系には荷が重そうですね(笑)
田園都市線はCS-ATC、東横線・目黒線・大井町線はATC-Pを使用していますが、田園都市線のCS-ATCはともかく、目黒線のATC-Pももう更新なのでしょうか。一体運用になるであろう新横浜線もATC-Pとのことですが、新保安装置との互換性をもって、あるときまとめて更新なのかもしれません。
また、大井町線は更新対象ではありませんが、田園都市線と一体的に運用されているのでATC-Pと共存するんでしょうかね。
ちなみに大井町線は溝の口延伸と同時にATC化したので13年経ちますが、まだ使えそうなものの法定耐用年数は迎えていそうですので除却損は無いのかもしれません。
いずれにせよ田園都市線が更新するのであれば9000系にとって廃車のターニングポイントになるでしょう。
また、状態保全システムの導入もありますね。
5000系列以降の車両は自己診断機能が充実しており、定期的な一斉検査から、随時即修の流れになっていくのでしょうか。
これも9000系には荷が重いでしょうね。
最後に、いつからどんな順に置換えが進んでいくのか、ですが、
・大井町線の車輛更新がプレス発表されたこと
・2023年度以降は設備投資計画が安定的に推移すること
・まだ新車のイメージやら諸元などの情報が出てきていないこと
・2022年度は東急新横浜線の開業が控えていること
・2022年度までコロナ禍の影響が響きそうなこと
・時期は明言していないが、運転保安装置の更新や状態保全システムの導入が計画されていること
を考えると、すでに置換え車両の検討は始まっていて、順当にいけば走行装置の更新ではなく6020系の5両版で増備でしょう。
ただ、先行導入の2本の実績や九品仏のドアカット等を踏まえてマイナーチェンジはあるでしょう。
一方、昨今は鉄道車両への要求も高く、特に急行と各停という分けだけでなく、G各停やB各停、田園都市線との直通やQシートなど大井町線は複雑な系統であるがゆえに、基本仕様は6020系と揃えるにせよ、ソフト面で大きく手を加えてきそうな気もします。
というわけで、
というわけで、予測として23年度から概ね数本ずつ6020系が投入される気がします。
9020系を含まないのであれば年5本×3年で置き換えられてしまいますので、2020系と同様のペースでいけばあっという間に消えそうです。
遅くとも2025年度初までには記録すべきでしょう。
※全て当ブログの憶測ですので間違っていても責任は負えません💦💦
大井町線の生え抜き車は9007Fまでさかのぼりますから、実に36年ぶりくらいの新車ですね。
嬉しいことですが、切妻も風前の灯火となってしまうようです。
残るは9020系と1000系ですが、9020系も一緒に置き換えられてしまいそうですし、残る池多摩の1000の処遇も気になります。
まあ、あれだけいた8500がここまで消えた今、順当といえば順当な発表だと思います。
趣味的には独特な変調音やクロスシートを早いうちに楽しんでおきましょう!
また動きがありましたら続報を記事にしましょうかね。
コメント
コメント一覧 (1)
本文中、大井町線がATC-Pになったのは2008年2月の急行運転開始の少し前です。
これによって対応していなかった8001Fが引退となりました。
また、生え抜きの大井町線車両は6000系があります。