東急5000系というと、もうすでに田園都市線で活躍中の新5000系を思い浮かべる方が多数派になってしまったかもしれませんが、やはり5000系は緑の下膨れなアオガエルのことですよね。

渋谷ハチ公前でまさかのぶった切られたデハ5001が飾られたことはさすがに驚きましたが、日本で、いや世界で最も注目されることの多い保存車輛となっております。

前回までに5200系湯たんぽに併結されたデハ5117を製作・販売しておりますが、今回からは晴れて初代5000系1編成分を製作していきたいと思います。


すでに前回の時点でお顔はある程度作り上げましたが、いろいろと不足があるので"ちゃんとした"アオガエル5000系に整えてあげます。
Mc 5000 v13
前回のデハ5117製作時に比べ、スナップフィット構造やHゴム・窓サッシ別パーツ化等の新機軸が実現されたのを受け、この5000系についてもスナップフィット構造&Hゴム・窓サッシ別パーツ化機構を取り入れて設計いたします。

肝心のプロトタイプですが、旧3000系列に隠れてイマイチ細部考証に日の当たらない5000系にも後天的改造が多く、実にモデル化し辛い題材なのでした。
大別すると、

初期:前面窓&客窓金属抑え・客扉窓大窓
初期改良:前面窓&客扉窓Hゴム押え
更新初期:戸袋含客窓アルミサッシ化
更新中期:戸袋除客窓アルミサッシ化
更新後期:客扉小窓化
晩年再更新:雨樋撤去・水切新設

このほか細部の違いは数多あるようで、いっそどのモデルにもならない最大公約数的な仕様にすることも考えましたが、もはやそんな形態すら不明なため、先発の5200系晩年タイプと合わせられる大井町線末期5連から5052Fを再現するつもりで製作していきます。

5052Fは1980年に東横線から大井町線へと転入し、途中中間サハを他編成と入れ替えつつ大窓小窓入り乱れの3M2T編成を組んで85年まで活躍しておりました。

内訳は、
1980年6月~83年4月
←大井町                渋谷→
デハ5052+サハ5366+デハ5116+サハ5352+デハ5038

1983年4月~84年8月
デハ5052+サハ5353+デハ5116+サハ5352+デハ5038

1984年8月~85年5月
デハ5052+サハ5353+デハ5116+サハ5360+デハ5038

1985年5月~86年12月
デハ5052のみ目蒲線へ、86年12月廃車

というわけで、デハ5052、デハ5116、デハ5038のM車3両は固定として、他にサハ5366、5352、5353、5360の4種類がわずか5年の間に存在したわけです。

そのサハの形態が同じならまだしも、1両1両違うようなのが厄介なのです。

形態差を車番ごとに見ていきます。
デハ5052:雨樋残存、アルミサッシ客扉小窓
デハ5116:雨樋撤去・水切追設、アルミサッシ客扉小窓
デハ5038:雨樋撤去・水切追設、アルミサッシ客扉小窓
サハ5366:雨樋残存?、アルミサッシ客扉小窓?
サハ5352:雨樋撤去・水切追設、塗装済アルミサッシ客扉大窓
サハ5353:雨樋撤去・水切追設、塗装済アルミサッシ客扉大窓、客扉ドアレール位置がちがう???
サハ5360:雨樋残存、アルミサッシ客扉小窓

何時頃更新されたか不明ですが、80年代初頭にはみなこの形態になっているのではないでしょうか?
問題はサハ5366で、どのような形態か不明です。誰かご存知の方はご教授願います。

また、サハ5352と5353はほぼ同形態で、鉄ピク2018年2月号の特集に載っている形式写真で姿を確認できますが、よく見るとサハ5353はドアレールの位置が上に移動している……なんじゃそりゃ?

とまあ細かい違いは枚挙に暇がないのです。
1両として同じ形態が無さそうなのが面白くもあり厄介ですね。

デハ5116は前回製作のデハ5117とほぼ同形態ですが、こちらも結局スナップフィット構造&サッシ別パーツ化のため大幅な設計変更となります。


細部考証が済んだところでやっと設計に入れます。
まずはデハ5052
前回までに前頭部形状は出来ているので、乗務員扉の設置や細かい部分のディテールを追加してあげます。
Mc 5000 5052 v36-2
デハ5052はジャンパ栓が付くのが特徴です。

裾には水切?台枠端部?のような出っ張りも追加。
m5052suso

ドアレールの車輪もディテールを施しています。
Mc 5000 5052 v52

この車両は雨樋残存・アルミサッシ化の車両ですので、形態的にはTOMIXの5000系と同一といえば同一です。
屋根上は列車無線アンテナ設置後の姿。
Mc 5000 5052 v52-2

ふくよかなボディが我ながら良く再現できていると思います。
Mc 5000 5052 v36
Mc 5000 5052 v46


模型構造的な話
OER5000形に続き、屋根・妻板側に取付ピン、側板側にピン差込口を設けるスナップフィット構造を採用しています。
本当にすぐに組み立てられて優秀です。
Mc 5000 5052 v43

窓サッシも別パーツ化
アルミサッシの塗り分けに烏口や面相筆で神経質になる必要もありません。
Mc 5000 5052 v43-2
向きがわかりやすいよう矢印を刻印してあります。
一応解説すると、サッシの段差がある方が表、サッシが出っ張っている方が上です。

前面のHゴムだってこの通り
Mc 5000 5052 v52-3
M5052hgomu
別パーツ部は極力薄く仕上げて、板ガラスでも奥まりが目立ちにくいようにしています。
この位置からだと側板のスナップフィットピン差込口の様子もよくわかります。

続いて中間車。
末期にサハ5352と差し替えられたサハ5360です。
こちらも形態的には雨樋残存・アルミサッシ化の車両ゆえTOMIX製品と同仕様といえます。
T 5350 5360 小窓 v4


こちらは雨樋撤去・水切追設、塗装済アルミサッシ客扉大窓のサハ5352・5353
雨樋が付いたままですが、この後修正して撤去しました。
T 5350 5353 大窓 v3-2

客扉の大窓や車体と同色に塗られたサッシは更新初期の特徴ですが、再度更新されて雨樋撤去・水切追設の姿となってゲテモノ感が凄い車輛となってしまいました。
だがそれがいい(笑)

雨樋撤去・水切追設はこの部分の腐食が酷かったために施された対策のようですね。

客扉をアップで
T 5350 5353 大窓 v3-3
サハ5352・5353は最後までサボ受が残っていたようです。

そしてドアレールは他の車両と同様の位置につけていますが、どうやらサハ5353はこのドアレールの位置がなぜか通常の車両より上寄りにオフセットされていたようです。
鉄ピク2018年2月号の特集に形式写真が載っており、その違いがよくわかります。


さて、次はデハ5038を、といきたいところですが、現時点でモデリングが進んでいるのはここまで。
次回はモデリング完了~試作品の様子をご紹介したいですね。