前座から1週間以上経って前座どころではなくなってしまいましたが、続きです。

前回記事の通り、宮前平駅西側のイメージでジオラマをつくっていきます。
基本的には既製品を使いつつ、安く・リアルに作るよう意識します。
・モデル箇所概況
まず、現場の特徴ですが、下図をご覧ください。


図の通り、鉄道施設部分で言うと、駅ホーム西端~トラス橋~高架橋~盛土にかけての区間を対象に入れたいと思います。
この時点で東西方向におよそ160~180mほど必要となりますが、使用するレイアウトパネルがA3パネル×4枚という制約上、840mm=実物換算で126mという計算になりますので、どこかを削らなければなりません。
今回ジオラマに選定した箇所の魅力は、なんといっても"緩やかな曲線を描く下り勾配を降りた先のトラス橋を駆け抜ける"というドラマチックなシーンにあり、そしてその間を盛土~高架~トラス~高架駅と多彩な土工設備で切り抜ける丘陵地帯ならではの鉄道風景に魅力があるのです。
というわけでいずれも切り捨てられないのですが、今回トラス橋にKATO複線トラスを使用する関係上、実際のトラス橋より橋長が短くなることがわかりました。
それならばと、残りの高架駅ホーム部、高架橋、盛土をそれぞれ切り詰めて全体的に東西方向に圧縮した形で再現することにしました。
・線形
一応鉄道模型屋ですので、一番重要なのは線路の線形になります。
一般的に実際の鉄道敷設の順番としては、大前提として土地や計画路線があり、次に、現実的な計画線形を設計図に落とし込んでいきます。
その後、設計図を基に
・路線測量
・路線中心線決定
・軌道中心線決定
・施工基面決定
の順で軌道や線路区画が決まっていくわけですが、模型の場合は土地の造成から全て自分で決められるので、逆に線形など引きたい放題できるのです。
しかしそれが原因でリアリティに欠ける情景になることがあってはなりません。
というわけで、線形くらいは現実に則して作ってみましょう。
設計する線形にはクリアしなければならない国の基準があり、それらは線形や鉄道土木に限らず、大抵の鉄道関係の基準として"鉄道に関する技術上の基準を定める省令"(以下省令)に収まるよう規定類が作成されます。※
※とはいうものの、この省令では鉄道事業者側の裁量がある程度認められている部分が多く、安全性や保守性が確保できることを条件に各社様々な基準を設けている例が見られます。
また、数値的な基準として省令の解釈基準が国交省より出ており、その解釈基準が実質的な一定の基準となっているようです。
なお、現行省令は2002年より施行されていますが、国鉄民営化後施行の普通鉄道構造規則及びそれ以前の日本国有鉄道建設規則はより詳細なようで、大抵の既存鉄道はこの規則によって作られているとみられます。
この省令と照らし合わせながら、モデル箇所の線形を見てみましょう。
・縦断曲線

Googleストリートビューの写真から、縦断曲線は勾配33‰で、高架橋と盛土の境付近から始まっている模様です。
もしかしたら、縦曲線(緩和曲線の勾配バージョン)は大部分が高架橋に渡って付いているかもしれませんね。
省令では、機関車牽引の貨物列車走行区間に限り25‰以内、それ以外は原則35‰以内としています。
というわけで33‰は省令基準で結構ギリギリの勾配のようですね。
また、縦曲線は、
曲線半径R600m<~:縦曲線R2,000m
~≧曲線半径R600m:縦曲線R3,000m
~≦10‰勾配:挿入しないことができる
とされています。

33‰の上り勾配を駆け上がる8590系の急行。
ATCは先行列車が詰まっていなければ線内最速110Km/h現示が出ますが、大抵鷺沼待避の各停に阻まれて減速してしまいますね……
・平面曲線
平面曲線は現場調査らしいものをしていないのですが(……しろよ💦)、Googleマップ上の座標から計算しておよそR900mの曲線と判断しました。
曲線といえば、カントC、スラックS、緩和曲線長Lが必要になりますね。
・カント
カントは次の式で決定されます。
・モデル箇所R900mの場合
カントは、C=GV ^2 / 127 Rで算出しますが、
先に1067mmを127で割って8.4(V^2/R)としておきます。
ここでRは900を代入すればよいですが、平均速度Vとは何km/hでしょうか?
下り各停なら宮前平出発直後ですから30km/h程度、急行なら上下線でATC110km/h上限まで出せます。
安全側にとってまずは110km/hで計算してみます。
C=8.4(110^2/900)=112.9333......mm
となりました。
実は、省令には書かれていませんが、省令の前身である普通鉄道構造規則には、
新幹線 180mm(東海道新幹線200mm)、在来線 105mm 』
とあります。
どうやらこの規則に沿うならば、約113mmの設計カントは過大なようです。
この時、曲線半径と平均速度から計算して割り出すカントCを"実カント"、安全を考慮して実際に取り付けるカント量Cmを"設定カント"、実カントCから設定カントCmを引いた値をカント不足量Cdとしています。
普通鉄道構造規則には続きがあり、カント不足量Cdは、電車の場合70mmまでと定められています。
つまり、本来必要な実カント量がカント最大量105mmを上回る場合でも、最大で70mmまでのオーバーなら許容できるということです。

これをモデル箇所に当てはめると、
C約113mm ー Cm105mm=Cd8mm
となり、許容カント不足量である70mm以下なのでOKとなります。
ですから、R900m、V110km/hのときの設定カント量Cm=105mm(但しカント不足量8mm)となるわけです。
105mmのカントとは随分大きく聞こえますが、1/150サイズなら僅か0.7mm……
正直1mmはあってもよさそうに思えたので、0.7mmならばこのままこの値を採用してよさそうです。
R900の曲線半径ならば、平均速度Vをさらに下げればよりカント不足量は小さくなり、設計カント量をそのまま採用してもよい場合もあるでしょう。
次に緩和曲線長です。
緩和曲線長は車輛の最大固定軸距で式が変わってきますが、東急の一般線は現状2100mmか2200mmしか存在しないはずです。
過去には初代5000系が2400mmだったりしましたが、いずれにせよ緩和曲線長の決定には影響せず、
300×0.105m=31.5m
と、随分短いなぁ……という気がしましたので、普通鉄道構造規則を見てみると次の通り記されていました。
規則では、次の3つの安全限度を計算し、最も長い延長を採用するようです。
★車両の走行に伴うカントの時間的な変化の割合に対する乗り心地限度L2(m)
L2=
★超過遠心力の時間的な変化に対する乗り心地限度L3(m)
すべて田園都市線が何級線にあたるのかは不明ですが、とりあえず1級線で計算すると、
L1=1.0×105mm=105m
L2=0.010×105mm×110km/h=115.5m
L3=0.009×8mm×110km/h=7.92m
というわけで、L2=115.5mを採用します。
……省令とあまりにも違わないか……?
と思いましたが、省令の解釈基準をよく読んでみると、L=300Cmは最低基準であり、運転速度を考慮して決定しろと書いてあります。
計算してみるとわかるのですが、乗り心地を考慮して定められるL2の値が曲線通過速度によってかなり変わってくるため、110km/hで通過するモデル箇所においては省令の値と大きな乖離が生じるのですね。
というわけで、これでカントと緩和曲線長は次の通り決定されました。
曲線半径:R900m
最高速度:110km/h
設定カント:105mm
緩和曲線長:115.5m
※1級線とした場合
1/150にして、
曲線半径:R6000mm
最高速度:204mm/s
設定カント:1mm(厳密には0.7mm)
緩和曲線長:770mm
……mm/sなんて単位あまり使いませんが、模型的には結構使いやすいかもしれません。
Nゲージでは1秒間で約20cm進む速度=実際の110km/hということですね。
そう考えると意外と遅いことがわかると思います。
そして緩和曲線長770mmは長いな……
2級線又は3級線規格にするか、平均速度の値を少し下げることを考えたほうがいいかもしれません。
そして、ここまで書いておいてなんですが、緩和曲線は付けません。
何故なら、緩和曲線部分とみられる駅ホーム部はほぼレイアウトボード内に入らないからです(´;ω;`)
いずれ東西に拡張した場合には必要ですので、その際は設定したいと思います……
なお、緩和曲線は、その名の通り円曲線と直線を滑らかに繋ぐために"徐々に曲率を緩和(=変化)"させなければなりません。そしてその曲率変化の仕方は、直線逓減と曲線逓減に別れます。
ようは、曲率を一律に直線的に減らしていくか、曲線で滑らかに繋いで減らしていくか、という違いで、一般的に曲線逓減の方が乗り心地は良くなります。
直線逓減はクロソイド曲線又は三次放物線、曲線逓減はサイン半波長逓減曲線が用いられ、一般在来線では計算が簡便な三次放物線を適用します。

このあたりは緩和曲線を取り付ける際に説明することにしましょう。
・軌道中心間隔
上下線の間隔というのも省令で決まっていたりします。
が、トラス橋にKATO製を使うほか、線路規格をKATO既製品に合わせる関係上これは33mmで設定します。
よりリアルな間隔にすると、大半径ならばともかく、模型規格の曲線半径では車体が干渉してしまうので、少なくとも1/150模型では33mm以下にするのは止めておくか、直線のみにした方がよいでしょう。
まだ鉄道土木設計や道路設計が残っているのですが、長すぎるので次回に回します。
次回は残り2つの設計を行います。

前回記事の通り、宮前平駅西側のイメージでジオラマをつくっていきます。
基本的には既製品を使いつつ、安く・リアルに作るよう意識します。
・モデル箇所概況
まず、現場の特徴ですが、下図をご覧ください。


図の通り、鉄道施設部分で言うと、駅ホーム西端~トラス橋~高架橋~盛土にかけての区間を対象に入れたいと思います。
この時点で東西方向におよそ160~180mほど必要となりますが、使用するレイアウトパネルがA3パネル×4枚という制約上、840mm=実物換算で126mという計算になりますので、どこかを削らなければなりません。
今回ジオラマに選定した箇所の魅力は、なんといっても"緩やかな曲線を描く下り勾配を降りた先のトラス橋を駆け抜ける"というドラマチックなシーンにあり、そしてその間を盛土~高架~トラス~高架駅と多彩な土工設備で切り抜ける丘陵地帯ならではの鉄道風景に魅力があるのです。
というわけでいずれも切り捨てられないのですが、今回トラス橋にKATO複線トラスを使用する関係上、実際のトラス橋より橋長が短くなることがわかりました。
それならばと、残りの高架駅ホーム部、高架橋、盛土をそれぞれ切り詰めて全体的に東西方向に圧縮した形で再現することにしました。
・線形
一応鉄道模型屋ですので、一番重要なのは線路の線形になります。
一般的に実際の鉄道敷設の順番としては、大前提として土地や計画路線があり、次に、現実的な計画線形を設計図に落とし込んでいきます。
その後、設計図を基に
・路線測量
・路線中心線決定
・軌道中心線決定
・施工基面決定
の順で軌道や線路区画が決まっていくわけですが、模型の場合は土地の造成から全て自分で決められるので、逆に線形など引きたい放題できるのです。
しかしそれが原因でリアリティに欠ける情景になることがあってはなりません。
というわけで、線形くらいは現実に則して作ってみましょう。
設計する線形にはクリアしなければならない国の基準があり、それらは線形や鉄道土木に限らず、大抵の鉄道関係の基準として"鉄道に関する技術上の基準を定める省令"(以下省令)に収まるよう規定類が作成されます。※
※とはいうものの、この省令では鉄道事業者側の裁量がある程度認められている部分が多く、安全性や保守性が確保できることを条件に各社様々な基準を設けている例が見られます。
また、数値的な基準として省令の解釈基準が国交省より出ており、その解釈基準が実質的な一定の基準となっているようです。
なお、現行省令は2002年より施行されていますが、国鉄民営化後施行の普通鉄道構造規則及びそれ以前の日本国有鉄道建設規則はより詳細なようで、大抵の既存鉄道はこの規則によって作られているとみられます。
この省令と照らし合わせながら、モデル箇所の線形を見てみましょう。
・縦断曲線

Googleストリートビューの写真から、縦断曲線は勾配33‰で、高架橋と盛土の境付近から始まっている模様です。
もしかしたら、縦曲線(緩和曲線の勾配バージョン)は大部分が高架橋に渡って付いているかもしれませんね。
省令では、機関車牽引の貨物列車走行区間に限り25‰以内、それ以外は原則35‰以内としています。
というわけで33‰は省令基準で結構ギリギリの勾配のようですね。
また、縦曲線は、
曲線半径R600m<~:縦曲線R2,000m
~≧曲線半径R600m:縦曲線R3,000m
~≦10‰勾配:挿入しないことができる
とされています。

33‰の上り勾配を駆け上がる8590系の急行。
ATCは先行列車が詰まっていなければ線内最速110Km/h現示が出ますが、大抵鷺沼待避の各停に阻まれて減速してしまいますね……
・平面曲線
平面曲線は現場調査らしいものをしていないのですが(……しろよ💦)、Googleマップ上の座標から計算しておよそR900mの曲線と判断しました。
曲線といえば、カントC、スラックS、緩和曲線長Lが必要になりますね。
・カント
カントは次の式で決定されます。
C=GV ^2 / 127 R
この式において、C、G、V、Rはそれぞれ次の数値を表すものとする。
C:カント(単位:mm)
G:軌間(単位:mm)
V:当該曲線を走行する列車の平均速度(単位:km/h)
R:曲線半径(単位:m)
この場合において、カントは次の式により計算して得た数値以下とする。
C=G^2 /6H
この式において、Hは次の数値を表すものとする。
H:レール面より車両の重心までの高さ(単位:mm)
・緩和曲線長
緩和曲線長は次の式で決定されます。
・スラック
スラックは模型では付けられない(1/150ではR900m相当だと付けても意味がない)ので今回は無視……
ここで、モデル箇所のR900mの場合を考えてみます。・緩和曲線長
緩和曲線長は次の式で決定されます。
(ア) 当該曲線を走行する車両の最大固定軸距が 2.5m を超える区間
L=400Cm
(イ) 当該曲線を走行する車両の最大固定軸距が 2.5m 以下の区間
L=300Cm
この式において、L、Cm はそれぞれ次の数値を表すものとする。
L:緩和曲線の長さ(単位:m)
Cm:実カント(2つの円曲線の間に緩和曲線を挿入する場合は、それぞれの実カントの差。単位:m)
この場合において、当該逓減を曲線逓減とする場合は、当該曲線を走行する車両の最
大固定軸距が 2.5m を超える区間では、カントの最急こう配が 400 分の 1、それ以外の
区間では、300 分の 1 となる緩和曲線長とする。
・スラック
スラックは模型では付けられない(1/150ではR900m相当だと付けても意味がない)ので今回は無視……
・モデル箇所R900mの場合
カントは、C=GV ^2 / 127 Rで算出しますが、
先に1067mmを127で割って8.4(V^2/R)としておきます。
ここでRは900を代入すればよいですが、平均速度Vとは何km/hでしょうか?
下り各停なら宮前平出発直後ですから30km/h程度、急行なら上下線でATC110km/h上限まで出せます。
安全側にとってまずは110km/hで計算してみます。
C=8.4(110^2/900)=112.9333......mm
となりました。
実は、省令には書かれていませんが、省令の前身である普通鉄道構造規則には、
『安全性から,列車がその曲線で停止した場合でも,車両が強風によって曲線の内側に転倒する恐れがあってはならない。
そこで最大カントは次の値に制限されている。
そこで最大カントは次の値に制限されている。
新幹線 180mm(東海道新幹線200mm)、在来線 105mm 』
とあります。
どうやらこの規則に沿うならば、約113mmの設計カントは過大なようです。
この時、曲線半径と平均速度から計算して割り出すカントCを"実カント"、安全を考慮して実際に取り付けるカント量Cmを"設定カント"、実カントCから設定カントCmを引いた値をカント不足量Cdとしています。
普通鉄道構造規則には続きがあり、カント不足量Cdは、電車の場合70mmまでと定められています。
つまり、本来必要な実カント量がカント最大量105mmを上回る場合でも、最大で70mmまでのオーバーなら許容できるということです。

これをモデル箇所に当てはめると、
C約113mm ー Cm105mm=Cd8mm
となり、許容カント不足量である70mm以下なのでOKとなります。
ですから、R900m、V110km/hのときの設定カント量Cm=105mm(但しカント不足量8mm)となるわけです。
105mmのカントとは随分大きく聞こえますが、1/150サイズなら僅か0.7mm……
正直1mmはあってもよさそうに思えたので、0.7mmならばこのままこの値を採用してよさそうです。
R900の曲線半径ならば、平均速度Vをさらに下げればよりカント不足量は小さくなり、設計カント量をそのまま採用してもよい場合もあるでしょう。
次に緩和曲線長です。
緩和曲線長は車輛の最大固定軸距で式が変わってきますが、東急の一般線は現状2100mmか2200mmしか存在しないはずです。
過去には初代5000系が2400mmだったりしましたが、いずれにせよ緩和曲線長の決定には影響せず、
(イ) 当該曲線を走行する車両の最大固定軸距が 2.5m 以下の区間
L=300Cm
の式を適用します。
これを適用するならば、前述の通り設定カントCm=105mm(0.105m)と設定したので、の式を適用します。
300×0.105m=31.5m
と、随分短いなぁ……という気がしましたので、普通鉄道構造規則を見てみると次の通り記されていました。
規則では、次の3つの安全限度を計算し、最も長い延長を採用するようです。
★車両の 3 点支持による脱線を避ける安全限度L1(m)
L1=
L1=
1級線:1.0Cm
2級線:0.8Cm
3・4級線:0.6Cm
4級線で最高速度75km/h以下:0.4Cm
★車両の走行に伴うカントの時間的な変化の割合に対する乗り心地限度L2(m)
L2=
1級線 0.010CmV
2級線 0.008CmV
3・4級線 0.007CmV
4級線で最高速度75km/h以下 0.006CmV
★超過遠心力の時間的な変化に対する乗り心地限度L3(m)
L3 = 0.009CdV
凡例 Cm(カント設定量、単位mm) Cd(許容カント不足量、単位mm)
V(曲線通過速度、単位km/h)
(許容カント不足量、一般列車50mm、 電車・気動車60mm、高性能電車70mm、振り子車両110mm)
※単位にmとmmが入り混じっていますが、全て生値を代入して扱えるように考慮しているようですすべて田園都市線が何級線にあたるのかは不明ですが、とりあえず1級線で計算すると、
L1=1.0×105mm=105m
L2=0.010×105mm×110km/h=115.5m
L3=0.009×8mm×110km/h=7.92m
というわけで、L2=115.5mを採用します。
……省令とあまりにも違わないか……?
と思いましたが、省令の解釈基準をよく読んでみると、L=300Cmは最低基準であり、運転速度を考慮して決定しろと書いてあります。
計算してみるとわかるのですが、乗り心地を考慮して定められるL2の値が曲線通過速度によってかなり変わってくるため、110km/hで通過するモデル箇所においては省令の値と大きな乖離が生じるのですね。
というわけで、これでカントと緩和曲線長は次の通り決定されました。
曲線半径:R900m
最高速度:110km/h
設定カント:105mm
緩和曲線長:115.5m
※1級線とした場合
1/150にして、
曲線半径:R6000mm
最高速度:204mm/s
設定カント:1mm(厳密には0.7mm)
緩和曲線長:770mm
……mm/sなんて単位あまり使いませんが、模型的には結構使いやすいかもしれません。
Nゲージでは1秒間で約20cm進む速度=実際の110km/hということですね。
そう考えると意外と遅いことがわかると思います。
そして緩和曲線長770mmは長いな……
2級線又は3級線規格にするか、平均速度の値を少し下げることを考えたほうがいいかもしれません。
そして、ここまで書いておいてなんですが、緩和曲線は付けません。
何故なら、緩和曲線部分とみられる駅ホーム部はほぼレイアウトボード内に入らないからです(´;ω;`)
いずれ東西に拡張した場合には必要ですので、その際は設定したいと思います……
なお、緩和曲線は、その名の通り円曲線と直線を滑らかに繋ぐために"徐々に曲率を緩和(=変化)"させなければなりません。そしてその曲率変化の仕方は、直線逓減と曲線逓減に別れます。
ようは、曲率を一律に直線的に減らしていくか、曲線で滑らかに繋いで減らしていくか、という違いで、一般的に曲線逓減の方が乗り心地は良くなります。
直線逓減はクロソイド曲線又は三次放物線、曲線逓減はサイン半波長逓減曲線が用いられ、一般在来線では計算が簡便な三次放物線を適用します。

このあたりは緩和曲線を取り付ける際に説明することにしましょう。
・軌道中心間隔
上下線の間隔というのも省令で決まっていたりします。
が、トラス橋にKATO製を使うほか、線路規格をKATO既製品に合わせる関係上これは33mmで設定します。
よりリアルな間隔にすると、大半径ならばともかく、模型規格の曲線半径では車体が干渉してしまうので、少なくとも1/150模型では33mm以下にするのは止めておくか、直線のみにした方がよいでしょう。
まだ鉄道土木設計や道路設計が残っているのですが、長すぎるので次回に回します。
次回は残り2つの設計を行います。
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