鉄道の運行に関わる現場には、乗務員はもちろんのこと、
駅務や保線、土木、建築、電気、信号通信、機械といった技術者の存在が無くてはなりません。

このブログをいつもご覧いただいている方の中には気づいておられる方もいるかもしれませんが、
私は某鉄道企業の保線業務に従事していたことがありまして、
その時の経験をもとに保線や軌道のことについて何度かお話してまいりました。

本日は、そもそもの大枠の話といえる"保線業務の1年"を知っていただこうと思います。

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単にどんな業務なのか知りたいと興味のある方だけでなく、
いるかどうかわかりませんが、今現在保線業務に携わっている方、
今後鉄道企業に就職して保線業務を目指したい、という方のお役に立てればこれ幸いです。


まず、鉄道企業のホームページに書いてあるようなお話。

"保線"とは何か?
=軌道を保守し、維持管理する仕事

です。

それ以上でもそれ以下でもないのですが、じゃあ"何を"どう"保守"するか?

何を?=軌道を
どうやって保守する?=検査し、保守計画を立て、施工・工事管理し、竣工する

具体的に見ていきましょう。

まず、軌道とは何か、ということですが、
鉄道事業法で軌道といえば路面電車を指すことがありますが、
保線の上で"軌道"とは、次の図の部分をいいます。

軌道

図の道床より上の部分が"軌道"です。
広義の保線とは、鉄道に関する施設部門すべての保守を指すこともありますが、
狭義の意味での保線といった場合、この道床より上の部分が保守範囲となります。
具体的にが、道床、まくらぎ、レール、締結装置などです。
もちろん、分岐器があればそれも対象ですが、分岐器は保線分野と信号分野の競合部分ですので、
分岐器の調整などは保線と信号双方の協力が無ければできないのです。

逆に、道床より下の路盤は、仕事上の区分け的には"土木"の管轄としています。
土木は路盤以外にも、鉄橋や高架橋、トンネル、築堤法面も土木部門が管理しております。

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ただ、現業機関としては保線と土木は同じ"保線区""保線所"として扱われ、
その中で担当が分かれているという形です。

次に、軌道保守保守の具体的な内容についてですが、
大体どこの鉄道企業も、次のようなサイクルで軌道の維持管理をしています。

軌道2

これは、保線や鉄道企業に限った話ではなく、
土木構造物に携わる業務すべてに言えることでしょう。
多分就活中の人で土木業界の説明会を聞いたことのある人には耳タコな話かもしれません。

次回からは、この"検査"、"計画"、"施工"、"竣工"にわけて説明したいと思います。