電車を音で表すならば、皆さんはどう表現しますか?
まず間違いなく”ガタンゴトン”と表現するでしょう。
”ひゅーん”とか”グォーン”とか"ドレミファー♪"とかを想像する人はもれなくマニアな方々です。
それでは"ガタンゴトン"に代表される電車の音はなぜ発生するのでしょうか?
これはご存知の通り、レールとレールのつなぎ目にある数ミリの隙間の上を
電車の車輪が通過する際に打ちつけるために発生するものです。
この隙間箇所を専門用語として"継目"(つぎめ)と呼び、その隙間広さを"遊間"(ゆうかん)と言います。
レール同士をつなぎとめるために"継目板"(つぎめいた)とよばれる部品で締結します。
この継目のせいでガタンゴトンいうわけで、騒音や振動の発生源となってしまうのですが、
継目はただレールを繋ぐという機能以上に鉄道の構造上重要な役割を果たしているのです。
では、写真と共に継目の役割を見ていきましょう。
1.普通継目 長津田検車区にて

ごく一般的な継目です。
レールの側面に板がボルト留めされているのがわかります。
これが継目板です。
こうして隣り合うレール同士をつなぐことで、レールがずれて脱線しないようにしています。
レールは一般的に25mの長さに切られており、これを定尺レールと呼びます。
2.絶縁継目 梶が谷にて

1の普通継目と形状は似ていますが、継目板が白く塗られています。
また、よく見るとレールとレールの隙間に何か挟まっているのがわかりますね。
これが絶縁材です。
レール側面と継目板の間にも絶縁材が挟まっており、電気を通さないようになっています。
この絶縁継目のおかげで閉塞ごとに軌道回路が独立して成り立つわけです。
3.伸縮継目(EJ) つきみ野にて

これは今までの継目と明らかに形が変わっています。
先端が細くなるレールを"トングレール"、先端が軌間外へ逃げるレールを"受レール"と呼びます。
レール長が200mを越える、いわゆる"ロングレール"区間に設けられる継目です。
"ガタンゴトン"を無くして騒音や振動を防止するため、レールを200m以上に溶接しています。
細長い鉄は温度により少しづつ伸び縮みします。
これが25mの定尺レールならそれほど問題にならず、レール間の隙間で伸び縮みを吸収できますが、
200mを越え数キロ単位でレールが繋がるロングレールではその伸び縮みも無視できないのです。
そうとはいってもこの伸び縮みする力は道床とまくらぎで支えられており、
問題となるのはロングレールの始終端に現れます。
そこでこの伸縮継目を採用することで伸び縮みを吸収するのです。
設計上は、種類にもよりますが100mm程度の伸縮まで対応しているようです。
ちなみにここで伸縮を吸収しきれないとレールがゆがみます。
夏場の高温時、列車が減速したりレールがゆがんで運休するのはこのためです。
路盤や道床がもろい線区はレールの伸び縮みに負けやすいので、
夏場の道床掘削や弛緩作業は細心の注意が必要です。
4.伸縮継目(EJ)(新幹線・曲線用) 藤が丘にて

同じく伸縮継目ですが、高速で走行する新幹線や一定の曲率以下の曲線では
写真のように中央に固定されたトングレールを配置し、
両サイドの受レールが外へ逃げるように配されます。
二子新地にて

右の田園都市線がトングレール固定タイプ、左の大井町線用が片トングタイプです。
ほぼ同条件でなぜ種類が違うのかわかりませんが、形状の違いがよくわかります。
5.接着絶縁継目(IJ) 溝の口にて

ロングレールは200m以上のレールのことを言いますが、
だからと言って閉塞も最低200m以上とはいきません。
たとえ閉塞間隔が広くとも、閉塞ごとにレールを区切っていては
ロングレールの意味が薄れてしまいます。
そこでロングレールと同等の一体性を持ち、なおかつ絶縁材を挟み込んだ継目が開発されました。
それがこの接着絶縁継目です。
"接着"という通り、上述の絶縁継目に比べてレール間を絶縁材と共に強固に圧着しており、
普通の絶縁継目の遊間部と比べて絶縁材が隙間なく詰められているのがわかります。
遊間が存在しないためロングレールの一部と化していますが、絶縁性があるので
ここで軌道回路が途切れる(=閉塞境界)ことになります。
もっとも、寒暖差があまりにも大きいと継目板ごと割れてレール破断を引き起こします。
レールの鋼鉄部分で破断すると軌道回路が途切れるため信号が自動的に赤(=停止信号)となりますが、
接着絶縁継目はもともと軌道回路の境界ですから信号は変わりません。
そのため、この継目は打音検査や超音波探傷検査等で定期的に、
そして入念に保守点検をしなければなりません。
また、このレールの特性から、亀裂が入った際目視で確認しやすいよう
継目板を白く塗装しています。
他にも高さの違うレールを繋ぐ異形継目板や、絶縁材を挟んだ伸縮継目など、
継目の種類は用途に応じて様々です。
たまには線路に目を落としてみるのも面白いですよ。
まず間違いなく”ガタンゴトン”と表現するでしょう。
”ひゅーん”とか”グォーン”とか"ドレミファー♪"とかを想像する人はもれなくマニアな方々です。
それでは"ガタンゴトン"に代表される電車の音はなぜ発生するのでしょうか?
これはご存知の通り、レールとレールのつなぎ目にある数ミリの隙間の上を
電車の車輪が通過する際に打ちつけるために発生するものです。
この隙間箇所を専門用語として"継目"(つぎめ)と呼び、その隙間広さを"遊間"(ゆうかん)と言います。
レール同士をつなぎとめるために"継目板"(つぎめいた)とよばれる部品で締結します。
この継目のせいでガタンゴトンいうわけで、騒音や振動の発生源となってしまうのですが、
継目はただレールを繋ぐという機能以上に鉄道の構造上重要な役割を果たしているのです。
では、写真と共に継目の役割を見ていきましょう。
1.普通継目 長津田検車区にて

ごく一般的な継目です。
レールの側面に板がボルト留めされているのがわかります。
これが継目板です。
こうして隣り合うレール同士をつなぐことで、レールがずれて脱線しないようにしています。
レールは一般的に25mの長さに切られており、これを定尺レールと呼びます。
2.絶縁継目 梶が谷にて

1の普通継目と形状は似ていますが、継目板が白く塗られています。
また、よく見るとレールとレールの隙間に何か挟まっているのがわかりますね。
これが絶縁材です。
レール側面と継目板の間にも絶縁材が挟まっており、電気を通さないようになっています。
この絶縁継目のおかげで閉塞ごとに軌道回路が独立して成り立つわけです。
3.伸縮継目(EJ) つきみ野にて

これは今までの継目と明らかに形が変わっています。
先端が細くなるレールを"トングレール"、先端が軌間外へ逃げるレールを"受レール"と呼びます。
レール長が200mを越える、いわゆる"ロングレール"区間に設けられる継目です。
"ガタンゴトン"を無くして騒音や振動を防止するため、レールを200m以上に溶接しています。
細長い鉄は温度により少しづつ伸び縮みします。
これが25mの定尺レールならそれほど問題にならず、レール間の隙間で伸び縮みを吸収できますが、
200mを越え数キロ単位でレールが繋がるロングレールではその伸び縮みも無視できないのです。
そうとはいってもこの伸び縮みする力は道床とまくらぎで支えられており、
問題となるのはロングレールの始終端に現れます。
そこでこの伸縮継目を採用することで伸び縮みを吸収するのです。
設計上は、種類にもよりますが100mm程度の伸縮まで対応しているようです。
ちなみにここで伸縮を吸収しきれないとレールがゆがみます。
夏場の高温時、列車が減速したりレールがゆがんで運休するのはこのためです。
路盤や道床がもろい線区はレールの伸び縮みに負けやすいので、
夏場の道床掘削や弛緩作業は細心の注意が必要です。
4.伸縮継目(EJ)(新幹線・曲線用) 藤が丘にて

同じく伸縮継目ですが、高速で走行する新幹線や一定の曲率以下の曲線では
写真のように中央に固定されたトングレールを配置し、
両サイドの受レールが外へ逃げるように配されます。
二子新地にて

右の田園都市線がトングレール固定タイプ、左の大井町線用が片トングタイプです。
ほぼ同条件でなぜ種類が違うのかわかりませんが、形状の違いがよくわかります。
5.接着絶縁継目(IJ) 溝の口にて

ロングレールは200m以上のレールのことを言いますが、
だからと言って閉塞も最低200m以上とはいきません。
たとえ閉塞間隔が広くとも、閉塞ごとにレールを区切っていては
ロングレールの意味が薄れてしまいます。
そこでロングレールと同等の一体性を持ち、なおかつ絶縁材を挟み込んだ継目が開発されました。
それがこの接着絶縁継目です。
"接着"という通り、上述の絶縁継目に比べてレール間を絶縁材と共に強固に圧着しており、
普通の絶縁継目の遊間部と比べて絶縁材が隙間なく詰められているのがわかります。
遊間が存在しないためロングレールの一部と化していますが、絶縁性があるので
ここで軌道回路が途切れる(=閉塞境界)ことになります。
もっとも、寒暖差があまりにも大きいと継目板ごと割れてレール破断を引き起こします。
レールの鋼鉄部分で破断すると軌道回路が途切れるため信号が自動的に赤(=停止信号)となりますが、
接着絶縁継目はもともと軌道回路の境界ですから信号は変わりません。
そのため、この継目は打音検査や超音波探傷検査等で定期的に、
そして入念に保守点検をしなければなりません。
また、このレールの特性から、亀裂が入った際目視で確認しやすいよう
継目板を白く塗装しています。
他にも高さの違うレールを繋ぐ異形継目板や、絶縁材を挟んだ伸縮継目など、
継目の種類は用途に応じて様々です。
たまには線路に目を落としてみるのも面白いですよ。
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