台車のバリエーションについては以前書きましたが、
車体もいろんなタイプが存在します。

そのほとんどは細かい違いですが、
模型作りや車両研究の観点から参考になれば幸いです。


1.鋼体
これは有名ですね。
8500系では大別して"非軽量車"と"軽量車"で分けられますが、
さらに分けるならば

・12次車までの非軽量車
・13次車軽量車(屋根絶縁部の狭い初期タイプ)
・14次車~17次車軽量車(一般的な軽量車)
・18次車以降軽量車(9000系タイプ)


の4タイプが存在し、外観・内装とも違いがみられます。
最もわかりやすい判別ポイントは
屋根肩部の曲率の違いから現れる屋根絶縁部と車体上部の境界位置です。

・非軽量車
東急8627F デハ8820 9-1次車 1977年製造
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先頭車は8630Fまで全てこの非軽量車。

・13次車軽量車
東急8625F デハ8842 13次車 1981年製造
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屋根の絶縁塗料が屋根肩部の中間から始まっており、
張り上げ屋根のように見えることで有名。
8500系では9両のみの小所帯で現存は3両のみ。

・14次車~17次車軽量車
東急8627F デハ8871 15次車 1983年製造
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構造そのものは13次車に準じるが、絶縁塗料塗布位置が側板上辺と一致し見た目がよくなった。

・18次車以降軽量車
東急8637F デハ0801 18-1次車 1986年製造
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鋼体としての見た目は14次車以降と変わらない。
車側灯形状やクーラー、パンタグラフ、繋ぎ箱の有無で見わけ可能。


2.車側灯・戸閉灯形状
こちらも有名です。

・9次車まで:コルゲート分断/楕円形戸閉灯
・10次車~18次組込車:コルゲート穿孔/楕円形戸閉灯
・18次編成車以降:コルゲート上に台座/縦長戸閉灯


に分けられます。

・コルゲート分断/楕円形戸閉灯
東急8622F デハ8522 8次車 1976年製造
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左から、戸閉灯・過電流灯・非常通報灯で、
全ての車側灯周囲のコルゲートが途切れている。

・コルゲート穿孔/楕円形戸閉灯
東急8630F デハ8530 10-2次車 1978年製造
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1978年製造の10次車以降は車側灯周囲のコルゲートが繋がっており、
車側灯取付位置のみコルゲートを穿孔する方式に変更された。
写真の8630Fは非軽量車先頭車で唯一このタイプ。

コルゲート上に台座/縦長戸閉灯
東急8637F サハ8980 18-2次車 1986年製造
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18次車以降は基本的に9000系と同タイプの縦長LED灯が戸閉灯に使用されている。
縦長の台座は9001Fにも見られる。
但し18-1次車で非軽量車へ組み込まれた車両のみ楕円形戸閉灯を使用している。


3.クツズリ
乗降扉下部の凸部分。
非軽量車は乗降扉下部隅のRまでクツズリが伸びているのに対し、
軽量車はR部手前で切れています。

・12次車非軽量車まで:クツズリ長
・13次車軽量車以降:クツズリ短


で分けられます。


4.乗降扉窓押え
非軽量車では窓押えはあるものの外観上は見えませんが、
軽量車では押え金が窓の縁に沿って見えます。

・12次車非軽量車まで:乗降扉窓押え無
・13次車軽量車以降:乗降扉窓押え有


で分けられます。

・クツズリ長/乗降扉窓押え無
東急8614F デハ8814 7-2次車 1976年製造
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・クツズリ短/乗降扉窓押え有
東急8637F 車番不明 18次車 1986年製造
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5.客室窓形状
非軽量車と軽量車で客室窓のサッシ形状が異なります。
軽量車はユニットサッシとなり、サッシ側面にテーパーがつきました。
また、わずかですが寸法も異なり、
軽量車では扉間にある2枚の側窓の間が5mm短くなりました。

・12次車非軽量車まで:非ユニットサッシ/側窓間広
・13次車軽量車以降:ユニットサッシ/側窓間狭



・左:軽量車ユニットサッシ/右:非軽量車非ユニットサッシ
東急8617F 
左:デハ0704 18-2次車 1986年製造
右:デハ8617  7-2次車 1975年製造
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まだありますので
続きはその2として次回へ回します。